恐竜の話題(論文紹介): (1) 恐竜と現存する爬虫類との違いは? そもそも恐竜とは?

2015年9月7日月曜日

(1) 恐竜と現存する爬虫類との違いは? そもそも恐竜とは?

絵_ 恐竜は他の爬虫類とはどう違う?



   2017年3月に新しい系統関係が提唱されました
~詳細はこの記事の一番上の画像をクリックしてください~

恐竜と現在棲息している爬虫類とどう違うのでしょうか。


違いはいろいろあるのですが、骨格の化石からわかる最も目立つ特徴は、胴体と肢との関節、股関節の構造です。他の爬虫類は胴体の横方向に肢が出ているのですが、恐竜は股関節から真下に肢が伸びています。このため、恐竜はトカゲのようにうねうねと体をくねらせることなく、哺乳類や鳥類と同じようにスムーズに体を進めることができたのです。
股関節の部分についての説明はこの記事のページの一番上の絵をクリックしてください)。


ではそもそも恐竜はどのように定義されているのでしょうか。


生物進化をあらわす系統樹は枝とその枝が分岐する部分で構成されています。下の図はその一部を簡単に描き出したものです。


系統樹を使って恐竜は次のように定義されています。
「恐竜はトリケラトプス、現生鳥類、そしてこれらの最も新しい共通の祖先とその全ての子孫からなる。(文献1)」 (トリケラトプスがメガロサウルスであったり、現生鳥類がスズメであったりする記載がありますが、定義されるグループは同じです。)

この図では黄色い丸で示した分岐点が両者の最も新しい共通の先祖です。その先の赤い線の部分が恐竜です。
恐竜と同じ中生代に生きていた巨大な爬虫類である首長竜や魚竜、翼竜は恐竜ではありません。
その一方で、この系統進化的な定義にしたがうと、鳥類も恐竜の一員になります。学術的には鳥類以外の恐竜を非鳥類恐竜と呼んで区別をします。
この部分の少し詳しい説明も、よろしかったらこの記事の一番上の絵をクリックするか、次のサイトをご覧ください。

→ 恐竜とは(2017年3月新たに提唱された定義も紹介

文献1:Michael J. Benton, Origin and relationships of dinosauria, in The Dinosauria, D. B. Weishampel, P. Dodson and H. Osmolska, Eds. (Univ. of Calfornia Press, Berkeley and Los Angeles, 2004)




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